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東京地方裁判所 昭和61年(ワ)670号 判決

一 成立に争いのない<証拠略>並びに弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められ、これに反する証拠はない。

1 原告らは、いずれも、日刊新聞の発行等を業とする会社であり、本件商標権を共有しており、原告らの使用する本件商標及び原告らの商号は、原告らの商品又はその営業活動を示す表示として、日本国内において広く認識されている。

2 被告は、少なくとも昭和六〇年七月ころ及び同年一一月ころの二回にわたり、名古屋市及びその周辺地域において、「読売ジヤーナル社」なる名称を使用して、本件商標権に係る指定商品と同一の商品である新聞に、被告標章を附し、また、これを附した新聞を販売、譲渡した。

二 ところで、被告標章は、漢字「東海讀売新聞」及びローマ字「THE TOKAI YOMIURISHINBUN」を二段に横書きした構成(漢字「東海新聞」のみのものも存する。)であり、また、本件商標は、漢字「讀売新聞」及びローマ字「THE YOMIURISHINBUN」を二段に横書きした構成である。被告標章のうち、地名を表示する「東海」の部分は、「讀売」ないし「讀売新聞」という部分に比して注意をひくことが少ないため、被告標章は、特に注意をひく「讀売」の部分により、「ヨミウリシンブン」の称呼及び「讀売新聞」の観念を生じ、他方、本件商標は、「ヨミウリシンブン」の称呼及び「讀売新聞」の観念を生ずるものと解せられる。また、被告商標と本件商標とをみると、書体が酷似していることが認められる。

したがつて、被告標章が、本件商標に類似することは明らかである。

更に、被告がその新聞発行にあたり使用している「読売ジヤーナル社」なる名称についてみる。

右名称のうち、「ジヤーナル社」は新聞等の定期刊行物を発行する会社を示す語と理解するのが相当であるので、右名称のうち注意をひく部分は「読売」にある、他方、原告らの商号のうち、「株式会社」及び「新聞社」は一般に使用される普通名詞であり、また「大阪」は地名を表示するものであるので、これらはいずれも要部にはなり得ず、注意をひく部分は「読売」にあるというべきである。

したがつて、被告の右名称が、原告らの各商号に類似することは明らかである。

三 右認定したとおり、被告が使用する名称及び標章と原告ら商標との間に類似性が認められることや原、被告の営業がいずれも新聞の発行を目的とする業務であることに照らすと被告が「読売ジヤーナル社」なる名称を使用し、被告商標をその新聞の発行にあたり使用する行為は、原告らの発行に係る新聞との間に商品の混同を、又、原告らの営業活動との間に営業主体の混同を生ぜしめる行為ということができ、原告らは、被告の右行為によつて、営業上の利益を害されたものということができる。

又、成立に争いのない甲第六号証及び前記証言によれば、被告は、原告らに対し、営業上の利益を害することを十分に認識していたものと認めることができ、これを覆す証拠はない。

更に、前記認定した各事実を考慮して、被告の行為によつて原告らの被つた信用毀損等の無形の損害を金銭に評価すると、原告それぞれにつき、各金二〇万円が相当と認められる。

四 以上のとおり、原告らの請求は、差止及び廃棄を求める部分並びに損害金各二〇万円及びこれに対する損害発生後である昭和六一年二月一七日から支払いずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるから認容し、その余は理由がないからこれを棄却する。

〔編註その一〕 本件における主文は左のとおりである。

一 被告は、新聞発行の営業に関し、「読売ジヤーナル社」なる名称を使用してはならない。

二 被告は、別紙目録3表示の標章を新聞に附し、又は、これを附した新聞を譲渡し、引渡し、販売し、拡布し、譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。

三 被告は、肩書地において占有する別紙目録3表示の標章を附した新聞を廃棄せよ。(以下略)

〔編註その二〕 本件における当事者の主張は左のとおりである。

第一 当事者の求めた裁判

一 請求の趣旨

1 主文第一ないし三項と同旨

2 被告は、原告両名に対し各金五〇万円及びこれに対する昭和六一年二月一七日から各支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は、被告の負担とする。

4 仮執行宣言

二 請求の趣旨に対する答弁

1 原告らの請求を、いずれも棄却する。

2 訴訟費用は、原告らの負担とする。

第二 当事者の主張

一 請求原因

1 商標権侵害

(一) 原告らは、いずれも日刊新聞の発行等を業とする会社であり、別紙目録1記載の商標(以下、「本件商標」という。)について、商標権(以下、「本件商標権」という。)を共有する。

(二) 被告は、少なくとも、昭和六〇年七月ころ及び同年一一月ころの二回にわたり、名古屋市及びその周辺地域において、本件商標権に係る指定商品と同一の商品である新聞に本件商標に類似する別紙目録3記載の標章(以下、「被告標章」という。)を附し、また、これを附した新聞を販売、譲渡した。

2 不正競争防止法違反

(一) 原告らが有する本件商標及び原告らの商号は、原告らの商品である新聞、又は、その営業活動を示す表示として日本国内において広く認識されている。

(二) 被告は、少なくとも昭和六〇年七月ころ及び同年一一月ころの二回にわたり、名古屋市及びその周辺地域において、原告らの各商号と類似した「読売ジヤーナル社」の名称を用い、被告標章を附した新聞を発行、拡布、販売している。

(三) 被告が、右の「読売ジヤーナル社」の名称及び被告標章をその新聞の発行にあたり使用した行為は、原告らの商品ないし原告らの営業活動と誤認混同を生ぜしめる行為ということができる。

(四) 被告の右行為の結果、原告らの営業上の利益を害される虞れが生じ、又、この結果の発生につき、被告には、故意又は過失が存する。

3 損害の発生

被告の前記新聞発行行為により、原告らの信用は毀損され、これによつて原告らは少なくとも各五〇万円に相当する損害を被つた。

4 よつて、原告らは、被告に対し、不正競争防止法第一条第一項第一号、第二号及び商標法第三六条に基づき、主文第一項ないし第三項同旨の裁判並びに不正競争防止法第一条ノ二第一項に基づき原告らが被つた損害の賠償として、各金五〇万円及びこれに対する損害発生後の昭和六一年二月一七日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二 請求原因に対する認否

全部否認する。

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